児童文学と漫画文化

気まぐれ天使 40回から。初回放映は、1977年9月21日です。このドラマでは、石立鉄男さんがサラリーマンをしながら、童話作家を目指しています。昭和40(1970)年代の児童文学と漫画文化の関係を、児童文学者たちの視点からとらえたシーンです。同人を組織している児童文学者たちが議論するという設定ですが、当時の児童文学者の意識が分かる興味深いものです。「漫画の氾濫が問題だ」「漫画撲滅」「漫画文化打倒」を激しく訴えています。 この中でひとり漫画を擁護しようとした石立さんは、袋叩きに遭ってしまいました。

小学校低学年~中高生まで、子供たちの広い年齢層に漫画が浸透していくと、児童文学が衰退してしまうのではないか…という強い危機意識を児童文学者たちは持っていたことが分かります。 実際、その後の漫画文化とアニメの隆盛の一方で、児童文学は残念ながら衰退して現代に至っているようにも見えます。 漫画は漫画ですっかり定着していますし、良いところもたくさんありますが、児童文学も素晴らしいジャンルで貴重な活動領域です。少子化の現代だからこそ、児童文学の良さが再認識され復活してほしいものです。

1:06 石立さんが漫画を読む「尾張屋書店」「シロービル」が見えています。これは、靖国通りに面した新宿区歌舞伎町1-6 にかつてあった本屋さんです。